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【劇評】子供の学芸会を見てきたぞ。

上の子は走れメロスのディオニス王(前半)をノリノリで怪演し、舞台序盤にエンジンを掛ける役割を果たせていてよかったでーす。はいこの舞台、マイサン優勝!
……が、一方でディオニス王のインパクトが強すぎて、主題が「メロスたちの友情が王の心を動かした」から、「王がメロスたちによって心を変えるまで」に変質していました。
これによって終結部で王が心変わりする契機を明示する必要が生じてしまい、かつ対応する解決が盛り込まれなかったために、スッキリしないラストになっていました。

解決するには、

対策1.主題を原作からズラさない
主観がディオニス王に寄ってしまった原因を戻す方針。一番大きかったのは原作ではメロスとの対話の中で「どうせちょっと遅れてくる」とディオニス王が語っていた部分が、王の内面を語るシーンに脚色されていた点。舞台を通じてキャラクターが明確に内面を語るシーンがここしかなかったので、王様視点の物語に寄ってしまった。あとマイサンの演技プランが「中二病的に人間不振なナルシストの王様(クックック」という、今日日見慣れていて親しみやすかったのも一因。
(問題点)マイサン演じる王が内面を語る当該シーンが、強烈な怪演もあって客席を巻き込んで舞台に息を吹き込む着火点を担っており、途中で削除や変更することは難しかったと思われる。

対策2.ズレた主題に対応した解決部をちゃんと盛り込む
原作からして王が心変わりをした契機は明示されないんだけど、メロスの物語なので心変わりした結果だけが必要なのであり、理由はそれほど問題にならないはず。
王が心変わりする物語になってしまった今回は、その理由を演出だけで示そうとするとメチャクチャくっさいシーンができてしまうので、できれば避けたかったはず。セリフを2つくらい追加すれば解決できると思われるが、解決したらしたで、客席のみなさんが知っている走れメロスと全然違うものが完成してしまうので、やっぱりできない。
(つづく)

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